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2015.01.27

なぜ食べログの評価はあんなに正しいのか?

 
先日クールジャパン関連のネット放送に出させていただき、「日本企業のグローバル化」について考える機会をもらったので、それを書きとめておこうと思います。
 
 
もうちょっとでシンガポールから東京に戻って1年が経ちます。
(やや前置き長いので読み飛ばしていただいてもw)
 
1年間海外にいた反動で、この1年は日本各地をいろいろ回っています。
北海道、山形、京都、大阪、四国4県、広島、岡山、沖縄などなど。
 
海外とか行ってる場合じゃないだろってくらいすごいですね、日本は。
 
 
■ガラパゴス化=グローバル化?
 
で、なんでこんなにすごいんだ? っていろいろ考えてたんですが、やっぱりそれもよくある話しで、島国というか、鎖国してるからなんだろうなぁと思ったわけです。
 
「世界の常識」に触れないでひきこもっているから、極端に個性のある文化が育つ。その「ひきこもり」の結果が、長い時間をかけて観光資産になったり、マンガや食のように、世界に出したときに誇れる「日本の文化」になるわけですから、不思議な話しです。
 
閉じれば閉じるほど、世界に開いていく力を持つ。
 
ということでしょうか。
 
ガラケー文化を筆頭に、日本が世界から切り離されていくことを「ガラパゴス化」と卑下したりしますが、ガラパゴス化の全てが悪いわけじゃなく、その中で「ぶっとんでスゴいもの」は国際的に評価されるということなんだと思います。
 
つまりは「ひきこもれ」。
日々聞こえてくる「グローバル戦略」とか「日本を脱出しろ!」みたいな煽りとは、ちょっとニュアンスが違うかんじです。
 
 
 
■食べログの評価が、あんなに機能しているのはなぜか?
 
じゃあ、日本が生んだ巨大Webサービスってなんだろう、と考えてみたところ、
「食べログ」と「クックパッド」が思い浮かびました。
 
これ考えてみると、どちらも「食」です。
 
日本食は世界的にも評価されているし、日本食に関するコンテンツはグローバルサービスでは網羅しきれないだろうから、この2つが国内で強いっていうのは理にかなっていそうです。
そして、どちらも海外展開はしていないです。
 
 
世界に展開している食べログ的なサービスというと、昨年日本にも上陸した「Yelp」があります。
 
Yelpは、シンガポールに住んでいたときもたまに使ってましたが、まーこれが全然信用ならない。評価高いから行ってみたらびっくりするくらいにマズかったり、そもそもクチコミの絶対数が少な過ぎる。
 
 
食べログが信用できてYelpが信用できない理由については、はじめは日本人はマメだからなんだろうなぁと思っていました。マメだから投稿数が増える。だからクックパッドは盛り上がるし、食べログの評価は信頼できる、と。
 
でも、よく考えると、もっと根本的な理由があることに気づきました。
 
日本が単一民族国家で、外国人がほとんどいないから、です。
つまり、全員味覚が同じということです。
 
 
シンガポールで、とある韓国人にこう言われました。
 
「日本食って、甘いよねー」
 
甘い???
 
そらキムチに比べりゃ甘いわ、って、その場ではスルーしたんですけど、よくよく日本食を食べるときに思い出してみると、たしかに結構甘いんですよね、和食って。ラーメンだって結構甘い。
今までそんなこと思ったこともなかった。
 
日本に住んでるアメリカ人が、
「モスバーガーは無理だよ。あれはハンバーガーじゃない」って言ってたのも思い出しました。
(ちなみにシンガポールではモスは人気)
 
そうか、文化が同じ単一民族だから、
「おいしい」「おいしくない」の基準が同じ。
だから、0〜5で評価をつけて、それがある程度の信頼を持ちうるんだなぁと。
 
多民族で成り立っているシンガポールや、世界中から人が集まるニューヨークでは、食べログやクックパッドのように、物事をキレイに相対評価することはまずできない。
 
食の場合はおいしい/まずいだけど、意見や主張も同じで、正しい/間違ってる、が共通認識としてない。だから、空気を読んでる場合じゃなく、自分の意見を言わないといけない。
 
無意識に自分が固有の文化に「ひきこもっている」ことに驚きます。
グローバルサービスって、そういう固有の事情をほぼ排除してるわけだから、すごいです。
 
 
■日本らしさを追求するか、日本を無視するか。
 
ということで、「日本で成功したサービス=世界でも成功できるサービス」というほど簡単なものではなさそうです。特に日本は、これだけ外との接触がないから余計に難しい。
 
実際に世界で活躍している日本人発のWebサービスも(メタップスさんやヌーラボさんとか)、はじめから世界を相手にしようとビジネスを展開しているケースが多いなぁという印象です。
こういう場合は、最初から日本を経由する必要がない。
 
 
まとめてみると、「グローバル化」への道は大きく2つあるのかなと思いました。
 
1. ひきこもって作られた「日本らしさ」を売りにして外貨を稼ぐ
 
2. 外国現地企業・外国現地人をマネジメントして外貨を稼ぐ
 
 
1は、マンガやアニメ、日本食ですでに事例がたくさんあります。
これはもうグローバルとか英語とかどうでもいいから、徹底的にいいコンテンツをつくるということに尽きるかと思います。
ただ、勝手にこちら側が「日本らしさ」と決めつけてしまっていないか、は注意しないといけません。そこは日本企業ではなく、アウトバウンド先の現地企業と組んでリサーチしないとです。リサーチだけじゃなく、たった数回のチャレンジで諦めない根気と資金力も必要かと思います。これが一番キツい。。。さらに、コンテンツであれば各国ごとに柔軟な権利処理もやらないと、PRすらままなりません。
 
 
2は、大企業であれば、絶賛外国企業を買いまくっているリクルートやソフトバンクです。完全に2020年オリンピック以降、勝ちにいく戦略。。。  ベンチャーであれば、日本人を雇わず、日本とはまったく別のやり方で経営していくということになると思います。完全フラットな戦いなので、かなりタフなやり方ですね。
 
どのみちを選ぶにせよ、かなりの時間と根気とお金が必要ことは間違いないです。
 
 
CINRAはというと、1と2、そこまで思い切れてないです。。。
でも、2015年は、1つ形にしてお見せできると思います!!!