05 ETC…

2014.03.04

「いいネットコンテンツ」ってどこにあるの?


 
「いいネットコンテンツ」ってなんだろか?
ってことを考えてたら、脱線しまくってきたのでひとまず書きまくろうと思います。
 
 
いきなり子どもじみた感情論ですが、「業界」や「権威」って、キラいです。(好きな人がいるのかわかりませんが)
 
癒着とか既得権益とか、そういうことに対してアンチを唱えるつもりも勇気もありません。そこじゃなく、業界や権威って、「主観を客観に置き換えて正当化する」んですよね、しょっちゅう。周囲への想像力が足りない。それが、どうにもダメなんです。
 
権威で言えば、ミシュランは「おいしい」という主観を客観的な事実にすり替えるし、視聴率は「面白い」という主観を客観的な事実にすり替えます。
 
業界で言えば、あるデザインを見て、「あー、いいですね。ブランディングできてる。」とかいう談話。これはそもそも日本語の問題。まずはググった方がいいです。
音楽だったら、ある音楽を聴いて、「あー、このアーティスト、いいかんじに育ってますねー」とか誰視点なの?的会話。 あなたがアルバム1万枚買ってくれるの? と思います。
 
バブル崩壊まではそういうんでよかったのかもしれないけど、その人個人と、受け手の価値観の区別がつかなくなって、「いい」が絶対化されちゃう。これが業界や権威の危ういところだし、その独善的なかんじが、どうしても好きになれないのです。
 

(大好きな漫画より引用)
 
 
そこへ来て、先日走ったショッキングなニュースがこれでした。
 
自殺防止呼びかけ広告並べたソウル・麻浦大橋、かえって自殺者が激増―韓国メディア
 
広告業界の話しになりますが、ソーシャルグッド(この単語自体もうよくわからんが)な広告が最近の広告賞を総なめにしています。ソーシャルグッドの何が怖いかって、とりあえず誰にとっても「いい」と思わせる強制力があるからで、それと広告賞のような権威による「『いい』の絶対化」が合わさると、もう手に負えなくなる。その隅っこで何が起こっていても、本当はそれによって傷ついている人がいても、全部無視して「シェア」や「リツイート」という名の豪速列車が「いいーーーー!!!」を世界中に広めていく。この独善性。100%の正義なぞこの世にはないと、過去100年で学んできたはずなのに、なかなかどうしてぼくたちの想像力は成長していきません。
 
 
で、ここでようやく本題。
「いいネットコンテンツ」について考えていたんでした。
 
最近、WEBメディアの新たな台頭がすさまじく、こちらもメディアを長らくやっている身として負けてられんと日々勉強させてもらっています。特に海外では、日本以上にわかりやすいトレンドが形成されています。
海外における新興ウェブメディアの隆盛 〜12のメディアから見えてくるもの〜
 
これらのメディアを見ると、まぁそれは面白いです。BuzzFeedにはよく爆笑させてもらってます。きっと、紙や放送などの従来のメディアに依存しない、ネットならではのコンテンツの作り方が生まれてきているんだろうなぁと思うし、勉強になります。
 
ただ、「あれ? 業界化してないか?」という怖さを感じることもあります。
プレイヤーが増える→セミナーが増える→業界ができる→「いいネットコンテンツ」の正当化がはじまる、という具合で。
 
ただ、こういう「ネットコンテンツの『いい』の絶対化」を考える時に、他の業界と決定的に異なる点が2つあるんじゃないかと思うんです。これは結構問題が根深い。
 
1つ目は、「いい」の指標の存在です。散々語られていることですが、ネットコンテンツの場合は、「PV数」や「いいね数」という客観的指標が存在します。その場合どうなるかというと、「いい」は権威が判断するのではなく、数字をとればOKってことになるので、競争性が高くなる&プレイヤーの流動性が高くなる(流行り廃りが激しくなる)。作る側からすれば、「バズればいいんでしょ?」ってなる。
 
そういうところで「いや、ブランドが…」とか「パクるのはまずいんじゃ…」とか遠慮がちに言ってみても、コンテンツなるもの見られなければ意味がないわけで、反論しづらくなります。たしかに、テレビや雑誌と違って、ネットコンテンツは、見られなければほんとに見られないし、しかもそれが全部数字で明らかになります。せっせと作った身としては、これは実に悲しいことです。。。
ただ、「PV数」と「いいね数」を優先させて考えると、どうしても焼き畑的になります。小売で言うところの「とりあえずセールやっときゃいいでしょ?」みたいなもので、セールばっかりやってプロパーが売れなくなるという悪循環。企業広告であれば、「あの超面白かった広告、どこの企業のだっけ?」って、本末転倒な事態が起きる。持続性や文脈(=実体)が生まれないところに予算が投下され、自然消滅していくわけです。乱暴かもしれませんが、この辺は国家の金融政策と大して変わらないんじゃないでしょうか? とりあえずお札ばらまいても、長期的な経済成長にはつながらないはず。
 
PV数やいいね数も含めて考えられる、新しい実体的な指標や、それに基づくたくさんの好事例が必要になってきていると思います。じゃないと、インターネットというメディア自体への不信がまた高まり、まだ序盤に過ぎないインターネット革命が、遅々として進まなくなる。まぁここまでは綺麗ゴトです。幸いにも、作る側にいるので、やっていかねば。
 
 
2つめは、メディア環境の問題です。こっちの方がもっと厄介です。どういうことかというと、そのコンテンツ自体はその人にとってたしかに「いいコンテンツ」だったのに、すぐ忘れちゃうほどどうでもいいものにならざるをえない環境になっているということです。
 
ヒキのあるコンテンツがFacebookやTwitterで流れてくると、面白そうで、ついクリックしちゃいます。でもそのほとんどがドーピングみたいな刹那コンテンツで、気づくとそういうコンテンツの中毒になってる。感動するようなコンテンツをひたすらクリックして、もはやパンチドランカーみたいになってる。こりゃもう「コンテンツジャンキー」と名付けていいのではないでしょうか? 読む側もですが、作る側も一瞬にして消費されるので、作ることをやめられません。ぼく自身も、1ヶ月前に「いいね」して涙した動画や、こりゃ役立ちそうだと関心した記事のこと、何一つ覚えてない……(ぼくだけ?)。それは本当に自分にとって「いいコンテンツ」だったんだろうか? いや、たしかに心に染みた。でももう忘れた。。。
 
という具合に、「よくても忘れる」という悲惨な状況になってます。少なくてもぼくはそうなんですが、みなさんどうなんでしょう?
 
つまり、コンテンツそれ自体の問題ではなく、インフラ、デバイス、メディアなど、周辺環境によって、「いい」という個人の絶対的価値すら、信用ならないものになってきているという状況です。「業界とか権威とか、キライっす」とかじゃれ合うレベルじゃ済まされなくなってきてる。
 
コンテンツジャンキーになると、少しずつ思考が停止してきます。暇さえあればスマホ見てるし、受信する言葉の量が凄まじいので、思考できなくなる。言葉は人間に思考させるために生まれた発明品。きっと、これまでもこれからもこれ以上のものは生まれえない、最高の発明品でしょう。
 
なのに今、その言葉の量が多すぎて、思考停止させるのに一役買っちゃってるわけです。だからと言って「紙に戻ろう」とか、「情報断食しよう」なんて、不毛だし、そもそもインターネット界隈は最近やたらに楽しいのでそんなことしたくありません。
 
でも、思考停止するくらいなら、正直人間はいない方がいい。他の生き物を必要以上に殺しまくって生きながらえているんだから、思考が止まってしまったら、ただの大量殺戮マシンに成り下がります。
 
もしかすると、もっと若い世代は(この表現さびしい!)、より現代にマッチした情報処理能力を持っていて、うまい具合に知性や価値観を保持しているのかもなぁと妄想したりもします。もしくはただ単に、LINEやWhatsAppなどのメッセンジャーアプリにエスケープして、できるだけ1to1のコミュニケーションに切り替えているのかもしれません。それも1つのサバイブする方法なのかも。
 
うーん、どうにも歯切れが悪いんで、言葉とインターネットの「いい」関係、いろいろ試していきたいです。
 
 

2009.09.22

世界がドルを棄てた日

sakai.jpg

田中宇さんは、
経済、政治にものすごく明るい人で、
独特の解釈や予測が、かなり面白い。

田中さんのメルマガは、
5,6年くらい前から登録をしているんだけど、
今でも、全くあきない。
というか、自分の見識が少しずつ蓄積すればするほどに、
面白いメルマガになるからすごい。

世界がドルを棄てた日』は、
そんな田中さんの渾身の著書。
なぜ米当局が今回の金融危機を「起こして」、
これからどういう方向に世界が向かうのか、
ということが書いてあります。
そしてそれが、
これまでの2つの世界大戦や
冷戦の背後に存在していた色んな人の思惑
(経済的であり恣意的な思惑)
の延長線上の出来事として、
歴史を経済の視点から追っていきます。
大胆な仮説ではありつつ、
エビデンスたっぷりで論が進むので、
説得力があって、めちゃめちゃワクワクしました。

どうしても、毎日目の前だけを見ていると、視界が狭くなります。

Think Global, Act Local.

「これだけは覚えなさい! 将来絶対に役に立つから!!」
と、中1の理科のS先生が
目を真っ赤にしながらリピートしまくっていたのを思い出すと、
たまにこういう本も読みたくなります。

あの先生、元気かなぁ。

2009.07.26

加治隆介とディズニーランド

0714.jpg
『課長 島耕作』の作者が描いた政治家バージョン、
 『加治隆介の議』。

 
友人から勧められて気になっていて、
その後どっかの雑誌で政治家もオススメしていたので
ヤフオクで全巻オトナ買い。

 
「2〜3回くらいコンタクトポイントがあると購買行動に至る」
というマーケティングの典型パターンで動いています。。。

 
こんなに大きなコトを動かしているにも関わらず
政治家のしきたりや「悪しき慣習」に惑わされず、
自分の「議」を曲げずに外交を行なう加治隆介が痛快。

 
仕事上でも、
自分だけなら好き勝手やればいいわけだけど、
色んな事情というものがあるわけで、
そのおかげで何かを譲歩したり、
「悪しき慣習」に乗っからないといけないシーンって
誰にでもあるんだろうと思う。

 
それでも、
勇気をしぼって自分の主張を切り出したり、
一歩前に踏み出してみると、
意外にもうまくいくケースがあったりする。

 
少なくても、後悔しないパターンが多い。
加治隆介、いかすオジサンです。

 

 

HI3B0061.jpg

 

休日、久しぶりにディズニーランドに!

 
学生の頃は毎年のように行ってキャッキャはしゃいでたけど、
今でもやっぱりキャッキャしちゃうからすごい。(汗)
日本人同士が手を振り合える空間って、
ディズニーランドだけなんじゃないかなぁ。

 
あのサービス、クオリティ、
一切の妥協のない世界観づくりは、やっぱり脱帽です。

 
タイミング良く、この前、
「ディズニー研修」というのがあることを知った。
企業研修として、ディズニーランドで働くクルーが受ける研修と
ほとんど同じものを受けられるというもの。
これは是非受けてみたいなぁ。

 
ディズニー・ゲストサービス・フィロソフィー

 
こういうのがあるってことからしても、
やっぱり、ただの「遊園地」ではないわけです。
おそらくそもそもやっている側に
「遊園地」っていう意識がないんだと思う。
他にもそういう企業はたくさんある。
アップル、スタバ、ジブリ、任天堂、ユニクロ・・・

 
既存の「業種」としての慣習にとらわれず、
もっと別の「自分たちが提供したい価値」というものを
ひたすら追求しているかんじがする。

 
結局のところ、
ジャングルクルーズのノリノリなお兄さんに
惚れてしまったということに尽きます。

2009.04.20

「今日の晩ご飯は何を食べるか?」から何を学ぶか?

シフトブレインの財務、Fさんに紹介してもらった本。
人から紹介してもらう本はだいたい、
「面白そうですねぇ」とかなんとか言って、
最終的に買い忘れたりする。
なんで、その場でアマゾンで購入しました。
qt01.jpg
QT 質問思考の技術
なんだかよくわからないタイトルですが、
この「質問思考」というのは、
「人の行動は、質問からスタートする」
っていうところに論拠を置いています。
たとえば、夕飯を決める時、
「今日、どんなご飯が食べたいかな」
と質問する。
たとえば、仕事がうまくいかない時に
「どうしてうまくいかないんだろう?」
という質問をする。
そこからスタートして、
色んな質問を通して、
最終的に自分の行動を決めている。
っていうことらしいです。
たぶん普通は、
自分が投げかけた質問に対する「答え」を吟味して、
「何が正しいだろう?」
「どっちの方がトクするだろう?」
とか考えて、より良い行動をとろうとします。
それを、この著者は、
そもそも質問の仕方を変えてみよう、
そうしたら、行動までも変わりますよ、
というわけです。
ということで、
自分に投げかける質問の仕方をコントロールすることで、
今よりももっと素敵な行動、人間関係、仕事の成果を生み出せるという考え方。
これが、「質問思考 Question Thinking」
というやつらしいです。
ちょっとカルトっぽさがあって怪しいなぁと思いつつ、
読めば読むほど首を縦に振ってました。
「あるある、あるある」
この本では、人の質問の種類を2つに分けています。
「批判者の質問」と「学習者の質問」です。
これがその一例。
qt02.jpg
いかにして、
批判者の質問から学習者の質問に切り替えるか。
その必要性と方法を、この本は説明しています。
続いて、批判者と学習者の違いをこう説いています。
qt03.jpg
この本を一冊読んで、
自分が普段、だいぶ色んな質問をしていたことに気づきます。
そして、色んなヒントが見つかったりもして、
ちょっと驚いた本でした。
あなたは、批判者になっちゃってますか? 学習者になれてますか?

2009.03.29

はたらきたい

最近、採用活動をやっていて、
新卒の人たちと会います。
今年から、就活もだいぶ大変になったらしい。
学生にとって、
市場のタイミングばっかりは、もう運でしかないです。

でも、こういう時に最初の仕事を経験するっていうのは、
ちょっとうらやましいな、とヒトゴトのように思います。
後々、力がついた時に、
とても素敵なスタンスで仕事ができるようになりそう。

昨年、糸井重里さんがやってる「ほぼ日」の事務所に伺い、
いただいたのがこの本。
51k97nJ4XTL.jpg
糸井さんをはじめ、しりあがり寿、矢沢永吉、
板尾創路、ピエール瀧、みうらじゅんなど、
多くの人と「はたらく」について語っています。
ラインナップがラインナップなだけに、
普通に笑えちゃうんだけど、
これがほんとにドキっと来るような内容で、
いい本を出版されるなぁと思ってしまいました。



わたしは、ずっと前から、
自分が誰かと仕事をしたら
「次もあいつと仕事がしたい」と言わせよう、
というのがモットーだったんです。
 BY 岩田聡(任天堂社長)

人材を「コスト」と見ているか、「価値」と見ているか、
それで企業の善し悪しがだいたいわかる
 BY 河野晴樹(KIZUNAパートナーズ社長)

採用するかしないかのポイントは、
人をバカにしない人っていうのと、失敗したら謝れる人
 BY 糸井重里

職種に限らず、成功している人たちはみんな言うことが一緒なんです。
1.大きい変化は小さい変化から
2.感謝を忘れない
3.思いついたらすぐ行動
このみっつ。
 BY 上大岡トメ(イラストレーター)

「プラスの2を狙ったら、マイナスの2が背中合わせについてくる。
プラスの5を狙ったら、マイナスの5がついてくる。どうしますか?」
って神様が言うんだよ。
俺は、若さがあったから、言えたんだよ。
「えい、くそ、一度の人生、オレは10を狙ってやる!」ってね。
そしたら、間違いなかったね、10の敵が来たよ。
 BY 矢沢永吉

当たり前のことですが、
糸井さんの言う「人をバカにしない人、失敗したら謝れる人」
これは本当に大事だし、難しいと思います。
・ミスをした時に、
 それが自分の責任だと認め、上司や部下に「ごめんなさい」が言えるか?
・何かを達成できなかったことを、
 自分の責任だと自覚して、くやしさをバネに次の行動ができるか?
・年齢がどんなに下の人であっても、
 敬意を払って良いパートナーになれるか?
・自分と違う人たちを見た時に、
 異世界の住人と割り切って排除していないか?
とか、本当に初歩的なことですが、
大切なことだなぁといつも思う。
採用、素敵な人に出会えるといいな〜。
kamakura.jpg
shirasu.jpg
鎌倉、しらす丼。