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2015.12.11

2015年、よかったこと、残念だったこと。(一応バトン #HyperlinkChallenge2015 #孫まで届け )

 
CAREER HACKの田中さんから「ハイパーリンクチャレンジ2015」という名のバトンを受け取りました
 
※「ハイパーリンクチャレンジ2015」とは、2015年に面白かったり心に残った記事を紹介するというバトンのようです(自分が関わったやつとそうでないやつの2つの記事)。
参考:2015年、いちばん印象強くエグられた記事/佐藤慶一 #HyperlinkChallenge2015 #孫まで届け
 
 
ぼくはブロガーでもライターでもないし年末だしなぁと思ったんですが、ちょっと書きたかったこともあったので、乗っからせていただきます。
 
*もはやバトンというより普通のブログなのですが、ご了承ください。
 
 
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2015年のインターネットは、いいことも、残念なこともありました。
 
いいことは、ライターとエディターがエラくなったことです。
 
ライターやエディターという、これまではビジネスで「下流」と呼ばれる側にいた人たちに、次々とスポットライトがあたるようになった様は、他人事としても自社事としても、とてもうれしいことでした。情報の発信者から遠い人が力をもつより、近い人が影響力を持った方がいいに決まっています。
 
単発の広告の爽快さや驚きや楽しさだけじゃなく、メディアのように持続的で我慢強いコミュニケーションがつくる信頼が、ビジネスでも認められるというのはいいなぁと思うのです(オウンドメディアとかコンテンツマーケティングとか、バズワードっぽくなってしまっている感もありますが)。
 
その分、「書く」だけじゃなく「広める」ことも期待されると思うので大変ですが、言葉に関わるプロフェッショナルが社会で影響力を持つということは、本当に素晴らしいことだと思います。
 
 
で、残念なことです。
 
誰かの正義や主張が、簡単に食いつぶされる出来事がネット上で本当に多かったことです。
 
佐野研二郎さんのエンブレムの問題にはじまり、SEALDs、パリのISによるテロ(具体的にはFacebookのプロフィール画像をトリコロールに変えた人たちに向けられた批判とか)などなど。
 
思わず「いや、それはいいじゃん」と言いたくなるような、「何か言った人/表明した人にいちゃもんつける大会」がそこらじゅうで開催されました。いや、もちろんこれまでもあったわけですが、2015年のそれはこれまでとは量がまったく違った。さらに、そういうやりとりがSNSだけにとどまらず、マスメディアにまで届き、全国中を動かした。
 
こういうことが増えると、なんらかの主義や主張を唱えることのリスクが高まり、ハードルも上がります。「なんか言っても損するだけじゃん」ってなる。
 
「イノベーション」という言葉を2015年はたくさん耳にしましたが、何か新しいことが起こるためには、少なからずこれまでの常識にアンチを唱える必要があるわけで、どこからのタイミングで必ず反対勢力が生まれます。そこで大切なのは、周囲からの力強い支援です。支援ができなくても、とりあえず黙ってやらせてみる。
 
そういう「社会の許容力」のようなものが、イノベーションの前提条件として必要だろうと思いますが、状況としては許容どころか、止むことのない、いちゃもん大会です。
 
ってことで、あんまり前向きになっていかない中、勇気と希望をくれた記事を2つご紹介します。
 
 
1つ目の記事(自分が関わった方)
 
今年6月にローンチして、CINRAで開発や運用をお手伝いさせていただいているメディア『HIP』で取材させていただいたTOYOTAの田中さんのインタビューです。
 
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「リスクをとらないことの方がリスクだった」 TOYOTAの「MIRAI」開発責任者が語る、トヨタ式イノベーション。| HIP
 
tanakasan
 
“人間、間違っていること、世の中に害を与えるようなことはしたくないじゃないですか。あとで「あいつがやった車って、全然クリーンじゃなくて害そのものじゃないか」って言われたくないわけです。(中略)ちょっとでも疑問を持ったときには考えたりみんなと議論したりして、自分たちがやろうとしていることは間違っていないんだと確認して、信念を持ち続けることが大事だと思うんです。自己暗示みたいなところもあるかもしれないけど、そういうハッピーストーリーを持ち続けないと、たとえ大きな声でしゃべっても、人に伝わる熱意にはならないと思います。”
 
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たとえどんなに叩いてくる人がいようとも、自己暗示だっていいから、正しいことを曲げずに貫き通す。その正義が、私欲なんかよりもずっと強いモチベーションになるし、周囲の人も動かす強さになる。
 
どんな状況に置かれても人間は正しいことを追求していくものだという希望をいただきました。
 
続いてもう一つの記事です。
 
 
■2つ目の記事(自分が関わらなかった方)
 
パリのテロで奥様を亡くされたフランス人のレリスさんによる、ISに対するメッセージです。
ドミニク・チェンさんが日本語に訳してくださった記事です。
 
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“あなたたちは私の憎しみを得ることはできない” — Japanese Official — Medium|Dominick Chen
 
“だから、私はあなたたちに憎しみという贈り物をしない。もっともあなたたちはそのことを望んだのだろうが、憎しみに対して怒りで応えることは、今のあなたたちを作り上げた無知に屈することを意味する。あなたたちは私が恐怖におののき、同じ街に住む人々に疑いの目を向け、安全のために自由を差し出すことを望んでいるのだろう。あなたたちの負けだ。何度やっても同じだ。”
 
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人生最愛の人が殺された人がこんな理性を持てるのかと、人間として限界超えちゃっていないかと、いちゃもん大会開いてる場合じゃないぞと本当に素晴らしくて、最近涙腺の弱いぼくはもうダメでした。
 
自らの正義(ISは悪である)を実証する方法は、他の正義(ISのテロは正義である)をつぶすことだと思ってしまいがちです。でも実はそれは、憎しみの連鎖を生むことにしかならない。
 
本当の正義の実証の仕方は、どんなことをされても、自分たちの正義を信じながら他の正義を無視し続けることだと教えてもらいました。きっとこれは、なんとかしてこの世紀に人間が獲得しないといけない理性なんじゃないかと思います。
 
この態度は、戦争やテロだけの話しでなく、ネット上での論争においても、少なからずつながるところがあるんじゃないかと思えます。
 
 
 
そういうわけで、2015年はインターネットがすごい動いた年だったと思います。
 
それでも、テクノロジーには常に善悪はなく、そのどちらかを決めるのはいつでも人間の側ですから、2016年はハッピーなことがたくさん起こってほしいし、起こしていけたらよいと思ってます。
 
 
■次のバトンなんですが、、、
 
長くなりましたが、バトンなので別の方に。
 
12/20までらしいのでむずかしいと思いますが、今すぐに思いついてしまったのは。。。。すいません。。。。「北欧暮らしの道具店」をやっていらっしゃるクラシコムの代表、青木さん(@kohei_a)です! (遠慮なくスルーしてくださいw)