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2006.03.15

PSE法緩和!

以前このブログでもPSE法について少し触れたけれども、なななななんと、ビンテージ楽器などの販売の規制緩和が決定しました!
CNET Japan
ビンテージ楽器は例外に–経産省がPSE法について対策を発表

生産が終了しているといった理由で高い価値を持つ、「ビンテージ」と言われる中古電子楽器については、以下の条件に当てはまれば簡単な手続きでの売買をできるようにする。
・電気楽器、電子楽器、音響機器、写真焼付器、写真引伸機、写真引伸用ランプハウスまたは映写機のいずれか
・すでに生産が終了しており、他の電気用品により代替することができないものであって、かつ、希少価値が高いと認められるものであること
・電気用品取締法に基づく表示などがあるものであること
・当該電気用品の取扱いに慣れた者に対して国内で販売するものであること

この問題については坂本龍一はじめ、色んな方々が抗議をしてきたんだけれども、法案が可決されてからしばらくたっていることもあるし、正直な話し、また無理だろうと思っていた。
世の中で行われているデモや抗議は、たとえそれが正当であったり、人間の豊かさを持続させるためのものであったにせよ、政府側がそれに対して何らかのリアクションをとってくれるということはまずありえない。大きいところではベトナム戦争くらいなものだろう。政権が揺らぐくらい大きなデモでなければ、重い腰はあがらないのである。
そんな中の朗報。ぼくはビンテージ楽器を使うほどのもんではないけれど、単純に嬉しかった。

2006.03.13

挑戦者の話しを聞く

今日はDREAMGATEが主催する起業家支援イベント「大挑戦者祭2006」に行ってきた。DREAMGATEは経済産業省がバックボーンとなって、日本に起業文化を根付かせるために行っている活動だ。
実は去年もこのイベントに行っていて、その時は堀江さんの講演会に出席してきた。当時はまだ近鉄騒動の後くらいで、そこまで有名にはなっていなかったんだけど、「会社に就職するなんて、バカらしいんですよ。労働力を搾取されるだけです。何かいいアイデアと少し根気があれば、金持ちになれますよ。だから、明日にでも起業しなさい」と言っていたのを印象的に覚えている。
今となっては・・・、というかんじだけれど、ぼくはこれはある種真実だと思っている。ただその分、背負うモノを背負えるかというだけだ。その人が金持ちを目指すかどうかは別として。
さて今年は色んな講演に行ってみた。
グッドウィルまずは11:00スタートのグッドウィルグループ代表取締役の折口さんのお話し。グッドウィルは起業後10年で売上1,500億超えという、グーグル以外はどこも成し遂げていない偉業を成し遂げた大手人材派遣企業。この折口さんは実はジュリアナ東京とヴェルファーレを作った人で、その後様々な利権にまみれて離脱。一人でグッドウィルを立ち上げてここまでデカくしたというあつい人。
午前中にも関わらず、ハイテンションでしゃべるしゃべる。すごいプレゼンテーション能力だった。
企業というのは1つのベクトルに向かって、半分夢のような目標に向かっていく。それ自体、語弊を恐れずに言えば宗教だと言う。
折口さんは夢と目標を設定して、それを実現させるための会社の憲法のようなものを作って、それを毎朝社員と復唱しているらしい。復唱することによって体に染み付き、それを実現させるためにどんなことがあってもベクトル修正できるのだ。よく考えてみれば、そういう社訓のようなものを設定している企業は多い。これは企業でなくても、必要な習慣だと思う。それはキリスト教でいう食前の祈り、イスラムで言うメッカに向かっての祈りと何も変わらない。何を信じるにせよ、どんな生き方をするにせよ、人間にはそういう「習慣」が必要なのだ。
もう一つ印象に残った話し。
グッドウィルはコムスンという介護事業会社を吸収した。人材とは関係のない介護業界であるにも関わらず、見事に黒字回復。去年で業界トップに躍り出た。
当初は「営利企業が介護をやっては金儲けに走るからダメだ」と言われたらしい。でも、「本当の心のこもった良いサービスは、一般的な価値としてお金に還元されるべきものだ」と反発した。だから、介護こそ企業が行っていくべきで、中途半端な安いサービスをするのではなく、お客さんに最大限喜んでもらうサービスを、お金をきちんといただいてやる。これがコムスンのやり方だそうだ。
月とスッポンということは重々承知の上だけれども、cinraを会社法人にする覚悟をしたのも、これと全く同じ理由からだ。NPOでは、日本社会のNPOに対する認識や資金の流動性の低さなどから、本当の新しい価値はつくれないと思った。どうせやるなら中途半端にグダグダやるより、失敗か成功かどっちに転ぶかわからないところで本気で勝負をするべきだと思った。というところで今スタートするところ。
その後、今回のイベントの目玉(だったらしい)のビジネスコンテストグランプリ。全国の若手起業家がアイデアをもちこんで競い合うもので、それぞれのプレゼンも素晴らしかったけれども、多くの観客の目的はそのコメンテーターにあった。
社長たち
史上最年少上場企業で有名なサイバーエージェント藤田晋氏。
ブライダル業界に革命を起こして、今年3月東証一部に上場したテイクアンドギブ・ニーズ野尻氏。
タリーズコーヒージャパンの松田氏。
ブックオフコーポレーションの坂本氏。
GMO熊谷氏。
フォーバルの大久保氏。
たぶん、今日本で一番注目される経営者が、ズラリと並んだ。こんな機会はめったにない。起業を志す人なら誰でも、この中の一人に何らかの影響を受けていることだろう。
このとんでもないメンツがビジネスアイデアを審査する。
どんな事業アイデアに対しても全員真剣に聞いて、真剣にコメントをしていた。最も印象的だったのはタリーズの松田公太氏。目が、半端じゃない。遠巻きながら、こんなに圧倒される目をもっている人は初めて見た。きっと、すさまじい人生を歩んで来たのだと思う。
最後。
「集客できるウェブコンテンツの違いと、ビジネス成功の鍵」というタイトルのパネルディスカッション。GREEの田中社長のお話しを聞きたくて、参加してみた。カフェグローブの矢野さん、アイランドの粟飯原さんと3人でのトークだ。
集客できるウェブコンテンツは何か、さらに集客できたあと、それをどうやってビジネスに結びつけているかという話しだった。
田中さんはやっぱり生粋のプログラマーだけあって、すっかり「web2.0」的なお話しに終始されていて、今後インターネットがどうなるかについて話しをしていた。すごく、頭の良い人だった。
対する二人の女性経営者は、逆にコンテンツを自分たちでつくって、編集して、ポータルを運営している。ニッチな層に対して密度の濃い情報を発信し、リピーターを増やし続けている。
cinraをmixiやGREEのようなコンテンツをユーザーが作るwebサイトにしていくのか、逆にカフェグローブのように情報を運営側が発信し、ニッチな層を確実に集客してユーザー1人1人への求心力を高めていくのか、どっちにしようかと考えたとき(今は両方ともやっているかんじで中途半端)、やっぱり後者だろうと思った。
cinraにはインターネットを使って発信したい情報があるからだ。
そして、web2.0の後は、こういう流れになってくるんだと勝手に思っている。

2006.03.12

のどかな休日と今週のニュース

代々木公園さて、今日は土曜日だからゆっくりお仕事しようかな、と思っていたらいきなり電話。
「今おまえんちの前にいるから行くわ」
突然ドヤドヤした野郎どもが駆け込んで来て、「最近どうよ」とはじまる。
おかげでウチのワンチャンも怖がって黙り込んでしまった。たまに、こうやっていきなり友達が来る。
「晴れてるからさ、代々木公園で野球しようぜ」
ということで代々木公園へかり出され、子供用のバッドとボールを買って、土曜の昼下がり、なんとも贅沢な時間を過ごした。
こういうことを言うのも照れくさいけど、ぼくは自分から遊びに行こうとはまずしない性格だから、たまにこういう風にして無理矢理遊びに連れ出してくれる友達がいるというのは嬉しいことだ。度が過ぎて困る時もあるけれども。。。
いい休息だった。
〜今週のweb関連ニュース〜
ブログクチコミサーチ
最近どこもかしこも「クチコミクチコミ」ということで、広告の手法なんかも大きく変わりはじめている。そのクチコミを最も促進させているのがブログということで、ブログ上でどれだけそのキーワードが騒がれているかというのはテクノラティが以前からやっているけど、新しく日付別に関連キーワードなんかも一緒に調べられるツールが出ている。かなり前の話しだけど。
PCから携帯に誘導する新アフィリエイト
いよいよモバイルでのECが活発になっている。どうやら最近の中高生の間ではモバイルで買い物というのが当たり前になっているらしく、若干ついていけてない。。
グーグル「アドワーズ広告」にキーワード自動生成の新機能が追加
就業時間の20%は強制的に新規事業を勝手に考える時間を割り当てられているというGoogle。毎日のように新しいサービスが開発されている。
米Yahoo!が4つのAPIを公開へ,アプリケーションのマッシュアップを支援
多くのweb2.0的webサイトから大幅に遅れをとるも、Yahoo!もAPIを公開した。GoogleMapのAPIをダウンロードしてマニュアルを読みながらちょこちょこいじくってみたけど、案外簡単にカスタマイズできるみたいだ。自社情報共有ツールやwebサイト構築にシステム開発費として何千万もの資金を投入する、というのが消える時代はすぐそこだろうな。
「Googleより2倍優れた検索を投入する」とMicrosoft
・・・・2倍って言われても。。。Googleを意識しすぎなんじゃないのかい?
paperboy&co.、独自にSNSを構築できるASPサービス「Grouptube」
早速cinraのスタッフ用のSNSを立ち上げてみたけど、有料ということでmixiで非公開コミュニティーを立ち上げればいいやんけ、という話しに。。。
まぁでも、インターフェースとしてはグループウエアよりも使い勝手がいいだろうな。
シンクプラス、ブラウザ画面情報を共有するコミュニケーションサービスの提供を開始
こいつは相当使えますよ。Mac版は当然なし。。いい加減乗り換えようかな。。
絵画購入ローン、400人が7億円被害 札幌の業者倒産
悲しくなる。。。こういう商売やっているから、本当にいい現代アートが一般の人たちのところまで届かないのである。渋谷や新宿でもやっているけれども、あそこで働いている人たちはラッセンをいいと思っているのだろうか、甚だ疑問だ。
TOKYO ART BEAT
うって変わって、このサイトはすごい。シンプルなのに東京の展示情報を網羅していて、機能もすごく充実している。ちょうどこんなことをcinraでもやりたいな、と思っていた矢先に発見。
今週はそんな具合でした。

2006.03.11

プロフェッショナルか、マルチプレイヤーか

今日は池尻にある会社のwebサイトのメンテナンスのために、いわゆる出向をした。
担当者の方から他の社員の方に「webデザイナーの杉浦さんです」と紹介していただいた。
コーラだと思って飲んだのが実はコーヒーだった時と同じくらい違和感を感じて、はて、ぼくは果たしてwebデザイナーだったのだろうかと自問する。全くもって不正解。プロからしてみれば、デザインの「デ」の字もわかっているかどうか疑わしい。でもじゃあわざわざその会社に出向いて何をしているかというと、webページの修正もあるし、webデザインも実際やっていたりする。
じゃあぼくはなんなんだろうと思う。
webデザイナー(今日初めて)
プロデューサー(ディレクターと分けられる程分業体制はできていないから)
ディレクター(プロデューサーと分けられる程分業体制はできていないから)
オーガナイザー(イベントの主宰をやるとそうなる)
営業マン(この時だけスーツ着用)
編集長or編集者(取材や記事を編集したりする)
社長(ひやかし)
などまぁ様々である。
正直、呼び名とか、そんなことはどうだっていいんだけど、よくよく考えてぼくは何かのプロフェッショナル(職人と言った方が近い)になりたいとはコレっぽちも考えていない事が判明した。
でもそれはたぶん、ぼくに限った話しではなく、単純に時代の流れとして何かのプロフェッショナルになるのがすごく難しいのだ。情報が多すぎて、誘惑がそこら中を渦巻いている。
そうなってくると、その中でもがんばって何かのプロフェッショナルになるか、もしくは完璧なマルチプレイヤーになるか、どちらかしかない。
なんだか当たり前のことを言っているようだけど、「完璧なマルチプレイヤー」はプロフェッショナルになるよりもずっと難しい。自分を支える「軸」がないのに、唯一無二の一貫した自分の価値観を持たなくてはならないからだ。
大抵の自称マルチプレイヤー(たぶん現在を生きる若者のほとんどがそうなんだろう)はその場その場に応じて「キャラ」をたてて、その場その場の価値観をもって、思考して、判断する。そんなんじゃあ面白くもなんともない。
完璧なマルチプレイヤーになるには、何者も受け入れる器と同時に、全てを斬る判断力が必要になるのだ。さらにその判断力は、一貫性と同時に柔軟性も兼ね備えている。ぼくの知る限り、歴史上そういう人は数えるくらいしかいない。でも、そういう人になりたい。
最近、司馬遼太郎の『坂の上の雲』を再読している。久しぶりの小説だ。少しずつで全然進まないんだけれども、今日はいいところにあたった。正岡子規、まさに完璧なマルチプレイヤー。
ちょっと長いけど、引用。

「あしはこのところ旧派の歌よみを攻撃しすぎて、だいぶ恨みを買うている。たとえば旧派の歌よみは、歌とは国歌であるけん、固有の大和言葉でなければいけんという。グンカンということばを歌よみは歌をよむときにはわざわざいくさぶねという。いかにも不自然で、歌以外にはつかいものにならぬ。」
〜中略〜
「和歌の腐敗というのは、要するに趣向の変化がなかったからである。なぜ趣向の変化がなかったといえば、純粋な大和言葉ばかり用いたがるから用語がかぎられている。そのせいである。そのくせ、馬、梅、蝶、菊、分といった本来シナからきた漢語を平気でつかっている。それを責めると、これは使いはじめて千年以上になるから大和言葉同然だという。ともかく、日本人が、日本の固有語だけをつかっていたら、日本国はなりたたぬということを歌よみは知らぬ」
「つまりは運用じゃ。英国の軍艦を買い、ドイツの大砲を買おうとも、その運用が日本人の手でおこなわれ、その運用によって勝てば、その勝利はぜんぶ日本人のものじゃ。ちかごろそのようにおもっている。固陋はいけんぞな」
と、子規は、熱っぽくいった。

最近、短く文章を書く事ができない。。
あまりよろしくない傾向だ。
完璧なマルチプレイヤーへの道は、なかなかに険しい。

2006.03.09

ウェブ進化論

ウェブ進化論梅田望夫氏の『ウェブ進化論』を読んだ。
この本は2月10日に発売されて、速攻全国で売り切れ、2月15日には第二刷をしていて、今もばんばん増刷中らしい。
この手の本がここまで売れるっていうのはなかなかに珍しい。それほどまでに「web2.0」は世界中を取り巻いていて、いよいよウェブの世界がリアルの世界と仲良くなりだしたということなのだろう。
文章を書く専門家ではいらっしゃらないようなので、論の展開の仕方とか、いわゆる「本」としての価値はそこまでなかったものの、情報としての価値はすごいものがある。ウェブにどっぷりはまっているような人から「ウェブはあくまで生きていくためのオプションだ」とか「ウェブは怖いし、嘘ばっかりだし」っていう風に思っている人まで、ネットを使う人全てに向けられた本だと言っていい。たったの250ページ。是非ご一読を。
著者の言葉を使えば、ビル・ゲイツは「こちら側」(現実の世界orローカル環境)の世界でトップをとった。で、グーグルをはじめとして最近のweb2.0的な企業(はてなとかドリコムとか)は「あちら側」でがんばっていると。その動きにマイクロソフトはついていけていないけど、これからは知全体が「あちら側」で保存されるようになり、全世界の人たちと共有できるようになる。今までそれぞれの頭の中だけにあった考えや意見、情報が色んなところでオープンになっていくことで、色んな情報とぶつかりあって、さらに豊かなそれになるという具合だ。
わかりやすいのがGoogleのGmailで、Gmailはwebフリーメールなのに2GBのオンラインストレージが各ユーザーに割り振られる。今まで「フリーメールは容量が少ないから」という理由でoutlookを使っていた人が、web経由でどのパソコンからでもメールを見られる環境になる。
他にもmixiをはじめとするSNSも「あちら側」で人間の関係性を構築していくものだし、del.cio.usはてなのソーシャルブックマークなどはブラウザーで各ユーザーが保有していたブックマークをwebに公開しようというもの。これは案外便利で、同じサイトをブックマークした人を教えてくれるから、その人が他にどんなページをブックマークしているかっていうのも公開されていて、自分の知らない情報にたどりつける、新しいネットサーフィンの可能性を示している。
わかりやすいように「あちら側」「こちら側」という分け方をしているんだろうけど、今後その垣根はなくなっていくだろうと思う。モバイルの発展が最近すさまじくて、きっと人は携帯電話のメールやインターネットではあんまり「あちら側」っていう意識はしないからだ。
「web2.0」に関してはお客さんに知りたいと言われて一度がっつり勉強していたので、新しく学んだことはとくになかったけど、どういう経緯で「web1.0」から「web2.0」に移行して、やっぱりGoogleってのはとんでもなくすごくて、じゃあこれからどういう風になっていくのかな、っていうところをすごく考えさせてくれる本だった。
内容についての感想をもう少しちゃんと書きたいのだけど、あまりに長くなりそうだから何回かに分けて書こう。
ということで、日々結構な量のweb関連情報を摂取している。この業界は毎日毎日新しいサービスがでてきて、本当に面白い。これからきっと、すごいことになる。やっと、インターネットの本当の可能性をみんなが考え始めている。
って言ってもまだwindoes95がでて10年しか経っていないわけだけど。
そんなweb情報も、すぐ忘れちゃうからこれからはここに記録していくことにしよう。
梅田さんはじゃあ次は何がくるのかっていうところまでは明らかにしていない。
読みながら、ずーっとこの流れとcinraがどういう風にくっつくか考えていた。というか、cinraはもとより、文化をつくっていこうとしているあらゆる動きは、これとくっつかない手はないのである。
自分なりに、その方法論が見えて来た。次の5年、10年、面白くなっていきそうだ。
どんな形であれ、歴史は繰り返すのだと思う。
<りんく>
梅田氏のブログ「My Life Between Silicon Valley and Japan」
ITproの梅田氏のインタビュー
asahi.comの梅田氏のインタビュー
amazonで買う『ウェブ進化論』
<what is “web2.0″ ?>
CNETjapan「web2.0ってなんだ?」
CNETJapan「web2.0の現在」