02 HOLIDAY

2006.04.03

ローリングストーンズという奇跡

今までにないほどバタバタした3月がようやく終わり、4月に入った。
色々と乗り切ったというのもあるけど、今週末は最高だった。
cinra花見土曜日、代々木公園でcinraのお花見。
桜を見上げて、ワクワク。やっと春がきた。やる気がフツフツとわいてくる。
夜、寒くなって来たのでみんなで居酒屋へ。今回はたぶん今までで一番集まった。20人くらい。
みんなで楽しく過ごす。スタッフ同士がみんな仲良くなるっていうのはほんとに嬉しい。ぼくとスタッフのつながりはあっても、横のつながりがなければいい企画も生まれないのはもちろん、いいモチベーションが生まれないからだ。こういう機会は、なるべく増やしていこうと思った。
家に帰り、泥のように眠る。いつもの3日分は寝た。ちゃんと寝るとこんなにも目覚めが気持ちよいものなのだ。
そつなく仕事をこなして出陣。
今日はストーンズを観に行くのだよ。
思えば前回のストーンズもポールマッカートニーも、素晴らしく運の良いことに、というかみなさんのおかげでタダで見に行けている。今日もほんとは¥35,000だったのに。。。本当にありがたい話しだ。
かくして、ぼくは奇跡を目撃した。

rolling stones

一発目、いきなりJumpin jack flashである。上がらないわけがない。
ミックジャガーはやっぱりスターだった。本物のスターだ。彼以外に、世界中どこを探したっているはずのないスター。
キースはだいぶおじいちゃんになったけど、彼のギターは本当にしびれる。フレーズごとに、背筋がゾワっとさせられる。2時間もゾワっとしっ放しじゃ、背筋がもちやしない。
ロニーだってすごいさ。キースとの相性抜群。チャーリーのゼンマイ人形みたいなドラムだって健在。
この4人が並んで肩を組んで演奏している姿を、この世の奇跡と呼ばずして何と呼ぼう。
ローリングストーンズは60年代から活動をしている。キースもミックも、今年で63歳。それで会場を走り回って、最高にセクシーで、ロックなパフォーマンスをする。
ビートルズはもちろん、ザ・フー、ジミヘン、キングクリムゾン、ピストルズ、クラッシュ、ポリス、レディオヘッド、マーズヴォルタ…数えきれないほど素晴らしい音楽が生まれてはなくなっていく中で、彼らはまだ音楽をやめられない。
バンドというのは、もしかすると恋愛以上にデリケートだ。それを、40年も続けている。
しかも、多くの再結成が騒がれながらも残念ながら当時のグルーヴは取り戻せないというなんとも寂しい出来事とはわけが違う。ストーンズは常に進化している。
初期だって、中期だって、後期だって、全部最高なロックンロールだ。
ライブ中盤。
Start Me UpからはじまってPaint it Black→Sympathy For The Devil→Brown Sugarの流れ。
そしてアンコールはSatisfaction。感無量。完全にビヨンドディスクリプション。目盛りは振り切れた。
今回はニューアルバム「a bigger bang」のツアーだったけど、このアルバムからは2,3曲しかやらなかった。往年の名曲を披露するスーパースター。普通だったら、観客のために昔の曲やらなきゃいけないんだよね、ってなる。でもストーンズは違う。スキが全くない。技術的に完璧な演奏というわけではなくて、もう何千回も演奏してきたであろう楽曲に対して惰性というか、やる気のなさが全く感じられない。CDより100倍素晴らしい。
もう書き出すと止まらないし、前頭葉を経由しないでただ抑えられない感情を文字化しているだけのような気がしてきたのでやめよう。
4/10にcinraのwebサイトでこのライブのレポを掲載するんで、そちらをご覧頂ければと思います。2,3日経てば、もう少し冷静になれるはず。
今週末、ほんと生きててよかったよ。

2006.03.12

のどかな休日と今週のニュース

代々木公園さて、今日は土曜日だからゆっくりお仕事しようかな、と思っていたらいきなり電話。
「今おまえんちの前にいるから行くわ」
突然ドヤドヤした野郎どもが駆け込んで来て、「最近どうよ」とはじまる。
おかげでウチのワンチャンも怖がって黙り込んでしまった。たまに、こうやっていきなり友達が来る。
「晴れてるからさ、代々木公園で野球しようぜ」
ということで代々木公園へかり出され、子供用のバッドとボールを買って、土曜の昼下がり、なんとも贅沢な時間を過ごした。
こういうことを言うのも照れくさいけど、ぼくは自分から遊びに行こうとはまずしない性格だから、たまにこういう風にして無理矢理遊びに連れ出してくれる友達がいるというのは嬉しいことだ。度が過ぎて困る時もあるけれども。。。
いい休息だった。
〜今週のweb関連ニュース〜
ブログクチコミサーチ
最近どこもかしこも「クチコミクチコミ」ということで、広告の手法なんかも大きく変わりはじめている。そのクチコミを最も促進させているのがブログということで、ブログ上でどれだけそのキーワードが騒がれているかというのはテクノラティが以前からやっているけど、新しく日付別に関連キーワードなんかも一緒に調べられるツールが出ている。かなり前の話しだけど。
PCから携帯に誘導する新アフィリエイト
いよいよモバイルでのECが活発になっている。どうやら最近の中高生の間ではモバイルで買い物というのが当たり前になっているらしく、若干ついていけてない。。
グーグル「アドワーズ広告」にキーワード自動生成の新機能が追加
就業時間の20%は強制的に新規事業を勝手に考える時間を割り当てられているというGoogle。毎日のように新しいサービスが開発されている。
米Yahoo!が4つのAPIを公開へ,アプリケーションのマッシュアップを支援
多くのweb2.0的webサイトから大幅に遅れをとるも、Yahoo!もAPIを公開した。GoogleMapのAPIをダウンロードしてマニュアルを読みながらちょこちょこいじくってみたけど、案外簡単にカスタマイズできるみたいだ。自社情報共有ツールやwebサイト構築にシステム開発費として何千万もの資金を投入する、というのが消える時代はすぐそこだろうな。
「Googleより2倍優れた検索を投入する」とMicrosoft
・・・・2倍って言われても。。。Googleを意識しすぎなんじゃないのかい?
paperboy&co.、独自にSNSを構築できるASPサービス「Grouptube」
早速cinraのスタッフ用のSNSを立ち上げてみたけど、有料ということでmixiで非公開コミュニティーを立ち上げればいいやんけ、という話しに。。。
まぁでも、インターフェースとしてはグループウエアよりも使い勝手がいいだろうな。
シンクプラス、ブラウザ画面情報を共有するコミュニケーションサービスの提供を開始
こいつは相当使えますよ。Mac版は当然なし。。いい加減乗り換えようかな。。
絵画購入ローン、400人が7億円被害 札幌の業者倒産
悲しくなる。。。こういう商売やっているから、本当にいい現代アートが一般の人たちのところまで届かないのである。渋谷や新宿でもやっているけれども、あそこで働いている人たちはラッセンをいいと思っているのだろうか、甚だ疑問だ。
TOKYO ART BEAT
うって変わって、このサイトはすごい。シンプルなのに東京の展示情報を網羅していて、機能もすごく充実している。ちょうどこんなことをcinraでもやりたいな、と思っていた矢先に発見。
今週はそんな具合でした。

2006.03.05

アートツアー

今日はマガジンのアートコンテンツのみんなでアートツアーを決行。
マガジンの企画の時期だけ集まって話し合うというより、頻繁に一緒に展示に行ったり勉強をしたりしていた方が、いざ企画をするときに絶対にいいものができるだろうと思って、はじめてみた。
完璧な快晴で、すっかり休日気分。
いざ、原美術館へ。
オラファー エリアソンの「影の光」展。テートモダンで展示をした時の写真が印象的で、覚えていた。光や時間、色などをものすごく人為的に利用しているのに自然な空間をつくるという作風が、なんだかとても新鮮だった。写真ですが、ご覧あれ↓。
テートモダンでの展示風景。
太陽つくっちゃってるよ!
Beauty 1993
タイトルの通り、美しいの一言。
Room for one colour 1997
部屋が黄色の光、一色。なんとそこにいる人たちやモノが全部モノクロに見えるというわけのわからない空間。びっくりな部屋でした
という具合。コンセプチュアルではなく、ただ、感覚的にきれいであり、おどろきなのである。そういうダイレクトさを現代アートに組み込むその方法論が、ものすごく斬新だった。
原美術館
品川でランチを食べ、その後恵比寿へ。エディターの二人は取材があるので、ここでお別れ。男3人で東京都写真美術館でこれも5日まで行われている「文化庁メディア芸術祭2006」に行く。
これは文字通り、毎年文化庁が主催しているメディアアートやCG、ゲーム、コミックも含めた芸術祭。受賞作品の映像がwebサイトから見られる。
大賞:Khronos Projector
優秀賞:アニマ
個人的に一番印象的だった作品。ストップモーションのリアリティーがすごい。是非見ておくれ。
他にも技術的に、あるいは造形的に感心する作品がたくさんあった。毎年この芸術祭は面白い。ただ、人が多すぎる。作品数も多すぎる。映像が100本以上上映されてるんだもん。
面白くはあるんだけれども、いわゆる「アート」というのとは違う。テクノロジーを駆使しているから面白いんだけど、作品としての深みはない。それはよくも悪くもこの芸術祭の特色なんだろう。
対称的な展示を見てヘトヘトになったぼくらはカフェに入って談話。
どうやったらアートが面白くなっていくかをひたすら話す。土曜日の昼下がりに、なんていうブルジョアライフだ、笑。
ただ、事態がそんなに容易いことではないことは誰の目からも明らかだ。二言目には「難しいよね」になる。そう、難しいのだ。だからこそ、やれたら面白いというわけだ。

2006.02.26

アートと話す/アートを話す

conversation with art, on art今日は打ち合わせをいくつかした後、オペラシティーアートギャラリーで開催中の「アートと話す/アートを話す」に行って来た。
東京オペラシティ アートギャラリー
今年はドイツ年ということで、色々とドイツにまつわるイベントが開催されているんだけれども、これもその一環。ダイムラークライスラーのアートコレクションからもってきた展示。
展示されていたのは構成主義、バウハウスなどで有名なヨハネス・イッテンやヨーゼフ・アルバース。そのあたりから入っていってミニマル、コンセプチュアルへという流れをドイツやオランダの作家を中心にスポットを当てていた。〆はロバート・ロンゴやアンディ・ウォーホルなどのポップアート。アメリカを中心として商業広告とアートが限りなく近寄った時代を紹介している。
てなわけで、基本的に20世紀中盤以降のアートの流れをものすごく大雑把に俯瞰した展覧会だった。作品それぞれについては他の展示で目にした作家が多かったからあまり衝撃はなかったものの、この展覧会はキュレーションの仕方が素晴らしい。作品の配置や構成はもちろん、その他色々な工夫がされていた。
入場の際に渡されるガイドブックがある。
何も難しいことは書いていなくて、それぞれの作品を平易な質問を投げかけながら紹介している。例えば「この絵は何色でつくられている?」とか「あなただったらこの作品をどうやって配置する?」とか。またこのガイドブックのデザインが小気味よい。おまけにノート欄が随所にあって、好き勝手に書き込んでよいという。いわば、能動的に作品と関わるためのツール。
美術館の社会的役割が収蔵、企画、研究、教育だとすれば、今その中でまさに問われている「教育」について真剣に考えて企画されたものだった。ガイドスタッフがナビゲートする「ギャラリー・クルーズ」も無料で行われている。これがまた人気らしい。
全く絵が描けないのに、ぼくはどうしてこんなに絵が好きになったんだろうとふと考えさせられた。小学校の頃、どんな美術の授業であれば絵に興味をもったんだろう。正直、全くわからない。学芸員の方々は本当にがんばっていらっしゃる。
そういえば、絵の具を手にたっぷり塗って机をグチャグチャに塗りたくった幼稚園での思い出は、今でも覚えている。あれは楽しかった。不思議と、絵の具が混ざり合った色までイメージとして残ってる。
視覚であれ聴覚であれ、そういうイメージをたくさん残せるのがいい教育なんだろうな。
最近、20年後も残っているようなイメージを感じていないような気がする。誰かがそういうのを持って来てくれる時は終わったから、自分でつかみにいかなくっちゃいかん。

2006.02.19

考える時間

今日は久々にちゃんと寝た。やっぱり体の調子がいい。
お昼、パソコンを閉じて、雑誌を読んだりひたすら考えたりする。
ふと思い立って昔の写真を見たり、日記を読んだ。高校生の頃に考えていたこととか、インドに旅した時の日記なんかを読む。ぼくはどうやら人よりも過去の記憶というのがない方らしく、同窓会で昔の話しに花が咲いたりするとき、ほとんど覚えていないもんだからバツが悪い。だから当然、その日記を書いたときのことなど微塵も覚えていない。別人が書いたようだから恥ずかしさもなく、「わかってね〜な〜」と突っ込みたくもなるのだが、今よりもむしろ自分の感覚に対して敏感だ。まぁ、それはそうかもしれない。ぜいたくなもんだ。
それどころではない時期になんでこんなおセンチなことやっているかというと、自分が今目指しているベクトルを、本当にスタートラインに立つ前にもう一度確認したかったからだ。だから、cinra設立当初に相談をもちかけたU君へのメールとかも、見直したりしている。2003年設立当初、ミーティングでみんなに配った紙資料なんかにも目を通す。
eddac267.JPGそうこうしている間にサロンの時間になったので、下北沢へ。
色んな人と話す。最近、人と話すという行為が自分の中でものすごく自然な行為になっている。特に話しがない人にも、話そうと意識せずとも口が動いているから面白い。それもかなり楽しいのだ。ただ、それは1つ1つのコミュニケーションが軽くなった事も意味している。よくも悪くもだ。
帰宅後、また続き。普段はかけっぱなしの音楽を切って、もちろんパソコンも開かず、無音の状態でずっと考え事をする。自分がどうしてcinraをはじめて、どうやって3年間続けてきて、そいで何をしようとしているのか、何をしたいのかを。そのしたいことは社会に有益なことで、ビジネスになりうることか。ずっと考える。
もちろん今までだってずっと考えながらやってきた。
でも最近、頭の中が覚醒しようとしている気がしている。自分の中で大きな変化が来る予兆がしているのだ。この時期が終わったら、色んなことの見通しがよくなるっていうのがわかる。時代や人の思考の流れが今よりずっとつかみやすくなるようなかんじ。もちろん、傲慢とかではなく。
寝て朝起きたらそんな感覚忘れちゃったよ、ってことになりませんように。