2006.02.26

アートと話す/アートを話す

conversation with art, on art今日は打ち合わせをいくつかした後、オペラシティーアートギャラリーで開催中の「アートと話す/アートを話す」に行って来た。
東京オペラシティ アートギャラリー
今年はドイツ年ということで、色々とドイツにまつわるイベントが開催されているんだけれども、これもその一環。ダイムラークライスラーのアートコレクションからもってきた展示。
展示されていたのは構成主義、バウハウスなどで有名なヨハネス・イッテンやヨーゼフ・アルバース。そのあたりから入っていってミニマル、コンセプチュアルへという流れをドイツやオランダの作家を中心にスポットを当てていた。〆はロバート・ロンゴやアンディ・ウォーホルなどのポップアート。アメリカを中心として商業広告とアートが限りなく近寄った時代を紹介している。
てなわけで、基本的に20世紀中盤以降のアートの流れをものすごく大雑把に俯瞰した展覧会だった。作品それぞれについては他の展示で目にした作家が多かったからあまり衝撃はなかったものの、この展覧会はキュレーションの仕方が素晴らしい。作品の配置や構成はもちろん、その他色々な工夫がされていた。
入場の際に渡されるガイドブックがある。
何も難しいことは書いていなくて、それぞれの作品を平易な質問を投げかけながら紹介している。例えば「この絵は何色でつくられている?」とか「あなただったらこの作品をどうやって配置する?」とか。またこのガイドブックのデザインが小気味よい。おまけにノート欄が随所にあって、好き勝手に書き込んでよいという。いわば、能動的に作品と関わるためのツール。
美術館の社会的役割が収蔵、企画、研究、教育だとすれば、今その中でまさに問われている「教育」について真剣に考えて企画されたものだった。ガイドスタッフがナビゲートする「ギャラリー・クルーズ」も無料で行われている。これがまた人気らしい。
全く絵が描けないのに、ぼくはどうしてこんなに絵が好きになったんだろうとふと考えさせられた。小学校の頃、どんな美術の授業であれば絵に興味をもったんだろう。正直、全くわからない。学芸員の方々は本当にがんばっていらっしゃる。
そういえば、絵の具を手にたっぷり塗って机をグチャグチャに塗りたくった幼稚園での思い出は、今でも覚えている。あれは楽しかった。不思議と、絵の具が混ざり合った色までイメージとして残ってる。
視覚であれ聴覚であれ、そういうイメージをたくさん残せるのがいい教育なんだろうな。
最近、20年後も残っているようなイメージを感じていないような気がする。誰かがそういうのを持って来てくれる時は終わったから、自分でつかみにいかなくっちゃいかん。