2015.06.07

【本】HARD THINGS by ベン・ホロウィッツ 〜 ダイハードのCEO版(しかもノンフィクション)


 
 
ともかく、読んでいて困る本でした。
 
いつも本を読むときは、すぐに内容を忘れちゃうので、これ大事だな、覚えておきたいな、というページはドッグイヤーします。で、読み終わってから、その箇所をEvernoteにまとめてメモする。それをときどきスマホで見返す、というようなことをしています(血液型はA型です)。
 
しかし、この本は困りました。折らないページの方が少ないんじゃないかっていうくらいに本がメタメタになってしまい、読み返してメモするだけで数時間かかってしまいました。
 
内容は、著者・ベン・ホロウィッツのCEOとしての経験を赤裸々に綴ったものです。タイトルの通り、本当に困難(HARD THINGS)の連続というか、ありったけの苦境を詰め込んだ本です。
 
この本がありがたいのは、「こんな苦境を克服して俺はすごい経営者だぞ」っていうただの自慢話ではなく、その苦境のほとんどが、経営者である誰もが直面するであろう問題なところです。しかもそのすべての災難が、「うそでしょ」っていうくらいとんでもない規模で、次々に起こっていきます。ダイハードのCEO版みたいな。なのにノンフィクションという事態。
 
さらにありがたいのは、彼が得たそれらの経験から、「そういう時はこうしたらいい」というアドバイスを、かなり細かいレベルで体系化してくれています。自分事というか、赤裸裸すぎて、リアリティと説得力がすごい。CEOを経験後、ベンチャーキャピタルを立ち上げて数々のCEOと対面しているからこそ得られる視点なのだろうなぁと思います。
 

「成功するCEOの秘訣は何か」とよく聞かれるが、残念ながら秘訣はない。ただし、際立ったスキルがひとつあるとすれば、良い手がないときに集中して最善の手を打つ能力だ。逃げたり死んだりしてしまいたいと思う瞬間こそ、CEOとして最大の違いを見せられるときである。本書では、辞めたり吐いたりすることなく、困難を乗り切るための知恵をいくつか授けよう。(本書95ページより引用)


 
会社の規模はまるで違うのですが、
こんなに著者に感謝しながら読む本は初めてでした。
 
この本に助けられ、正しい判断ができるCEOが、
世界中にものすごい数生まれるんだろうと思います。
 
折りまくってメタメタになっちゃったけど、ずっとそばに置いておきたい一冊です。
 
 
最近どこの書店でも平積みされているし、この時点でAmazonのビジネスとIT部門でベスセラー1位の本書ですが、経営者でない人にはどう映ったのか、気になります。
 
まして、これから起業しようと思っている人たちがこれを読んだら、起業を思いとどまるんじゃないだろうか。。。
 
自分の場合は学生からの起業だったので、その大変さやリスクをよくわからずにスタートしました。
正直これは、起業前の自分には読ませたくなかった一冊です(笑)。