2013.03.29
シンガポールに行く理由
明日から、シンガポールに住みます。
これから出国です。
まずは1年間。
しかも、月に1週間は日本に戻ってくるので、
あまり大きな変化でもないのですが……。
「なんで海外?」
「なんでシンガポール?」
そこはもちろん、
「アジアでいっちょ当ててやるぜ!」
「日本のマーケットはもうダメじゃん。海外進出だ!」
みたいなかんじに決まってるじゃないですか(ギラギラ)。
ウソです。。。
実際、CINRAはそんなことできないくらい、まだヒヨっこ会社です。
活動スタートからは10年、会社としては8期目なのですが、ゆるやかではあるけれども成長させてもらって きて、ここへきてようやく自社のポジショニングが明確になりつつあるかな? というくらい。
ようやく、家業から、組織になりはじめたかな? くらいのもんです。
それに、「日本のマーケットはダメじゃん」なんて、
ぼくらのシェアじゃ口が割けても言えません。
もし仮に日本がそろそろダメだとしても、言葉や視覚や聴覚のセンスとか、自分たちが無意識に身につけている文化があるからこそ、ぼくたちの仕事は成り立っています。言葉を扱う編集も、視覚を扱うデザインも、本当に文化に寄っているところが大きい。
海外で仕事するということは、それを差し引いて考えるということなので、今まで超ドメスティックにやってきたぼくらからすると、想像すらできません。社会を知らない新卒、いやそれにも及びません。
ということで、「日本はもうダメ。だから海外でやります」という短絡的なロジックは成り立たない。
まだやったこともないのでよくわかりませんが、普通に考えるとそうなりました。
膨大に前置きをかましつつ。
それでもシンガポールに行く理由は、2つあります。
個人的な理由と、組織的な理由です。
個人的な理由というのは、ただ単に「行きたいから」です。。
昨年、30歳になって決めたことがありました。
20代、いろんな勉強をさせてもらってきたし、
生意気ながら、少しだけ、自信もつきました。
だからこそ、30代、これからは、
「いつかは○○やりたい」ということをやめにしよう。
そう決めました。
「いつかは」と言っていられるほど一生は長くないから、今すぐやろう、と。
もちろん、その「○○」は自分の中に、いくつもあるのですが、
その1つが、「海外で仕事がしたい」ということでした。
それでたまたま去年社員旅行でシンガポールに行って、
あれよあれよという間に、こうなりました。
そして個人的な理由としてもう1つ。
もう一度、創業当初のような感覚に身を置きたい、と思ったのです。
何も通用しないヒリヒリする感覚。
所在不明で落ち着かないかんじ。
(本当にスゴい人は、どの環境でもそうできると思うのですが)
そういうわけで、戦略性のカケらもない動機ですが、
動機がおかしくても、きちんと結果を出す。
これが大事だと思うので、結果を出せるようがんばります。
ちなみに、シンガポールを選んだのは、とてもありきたりで、
・アジアのハブで欧米含め色んな人が来ているから
・東南アジア好きだから
・他のアジアに比べると生活しやすいから
・英語が公用語だから
・利益が出せるようになったら税制が良いから
というような具合です。
さて、もう1つの理由。
組織的な理由です。
20人に満たない中小企業で、社長がいなくなる(たとえちょこちょこ帰ってくるとは言え)というのは、ちょっとした事件です。周りの経営者の人に話しても「え、大丈夫なの?」と言われます。
実際、似たようなことが起きて空中分解してしまった企業の話しも聞きました。
どうだろう? 大丈夫だろうか?
やってみないと、わかりません。
でも、弊社のスタッフは素晴らしい人たちです。
本当にすごい意識と思いやりを持っているCINRAの一番の自慢です。
もしも今までに
「自分の一番スゴいところ」があるとしたら、
間違いなく、「彼ら/彼女らを採用したこと」だと思います。
ただ、自分の存在が彼らの成長ややりがいを
奪ってしまっている面もあるのではないか、と感じることが多くなりました。
ぼくは性格的に全部知っていたいし、自分が考える「完璧」に近づけたいので、あれやこれやと言ってしまいます。
もちろんそれは大切なことだと思うけど、一番大切なのは、お客さんや社会に自分たちができる最も高い価値を提供させてもらうことです。それも、継続的に成長できる形で。そこには、多少のミスもあるかもしれませんが、すぐにそれ以上の成果を読者やクライアントに提供することができるようになると思います。
そこで大切なのは、経営者ではなく、個々人の能力の組み合わせです。さらに、その能力の源泉は、その個人のモチベーションから生まれます。
組織を、全て自分が管理できる範囲にとどめるなら、
全部やればいいですが、そうしたくもないし、面白くない。
もちろん、個人のモチベーションも上がりっこない。
ぼくだったら1日で辞めます。
なので、少し離れた距離感で、
どうスタッフが成長していくのか、見守っていたいと思ったわけであります。
(まぁ自分は見守るどころじゃなくアクセクするわけですが)
まとめると、まだまだ暗中模索の身であります。
その具合を、このブログで、いろいろ発信していければと。
これからどうなっていくのか、ヒヤヒヤ半分、ワクワク半分。
楽しみです。
いってきまーす!