2013.01.14

【本】MEDIA MAKERS —社会が動く「影響力」の正体

現NHN Japan(LINEとかNaverとかlivedoorの会社)の田端信太郎さんによる著書。
タイトル的にも読まないわけには…、ということで購入。
 

mediamakers

 

ご存知の通り、田端さんはR25、livedoorニュース、VOGUE、WIRED、NAVERまとめ、などなど、あらゆる形のメディアに関わってきた人。
 

「メディアの人も、そうでない人も、これからの時代のために知っておいて欲しい」ということで、専門的過ぎず、抽象的過ぎず、スイスイ読めた。
 

・WEBメディアってどんなものなのか?
・メディアのブランド力はまだ生き続けるのか?
・メディアの継続(売上を生む)ためにはどんなプロセスが必要なのか?
・編集権は、守られるべきなのか?
・徐々に広がる、個人型メディアの話し
 

などが網羅的に書いてあり、いろんな例が出てきて読み物として「楽しかった感」がとても高かった。
 
 

個人的に印象に残ったのは2つ。
 

1つは、テクノロジーがメディアのメッセージを決める部分も大いにあるという話しの箇所で(M・マクルーハンの「メディアはメッセージである」的な話し)、「CDがなぜ74分になったのか」という雑談。
 

なんとこれ、カラヤンがソニー副社長にそう言ったから、という事実(知らなかった!)。
 

カラヤンがCD1枚でベートーベンの第九を絶対入れたい!と言って、第1楽章から第4楽章までを全部入れると74分弱だったという…。テクノロジーって、すごく人為的なんだなぁと。

 
 

もう1つは、エルメスの話し。

 
「馬具メーカー」だったエルメスが、車が登場してきてその存続が怪しくなったときに、「旅行用革製品メーカー」に変化を遂げたこと。どこかで聞いた事があった気がするけど、今になって、この決断というのは本当にすごいなぁとあらためて思う。

 
「馬具しかつくってきてないんですけど…」という、馬具づくりの世界しか知らない社員がいるなかで、「いや、もう無理だから。」っていって変えるのは、かんたんなことじゃない。自分たちを一旦否定して、もう一回コアコンピタンスを再構築する。聞いただけでもとんでもない苦労。

 
 

ということで、本書のテーマ自体とはあまり関係がない2つのトピックが印象に残った…。

 
 

「メディアの人も、そうでない人も」
という幅広いターゲットを想定した本なだけに、
なかなか立ち位置が難しそうな部分が多々あった。
 

これ以上言ったら専門的すぎ、とか、
これ以上言ったらWEBの人は誰でも知ってるし、とか。
 

これまで関わっていらしたメディアの事業計画書とか見たいな……(笑)。

 

田端信太郎著 / MEDIA MAKERS 社会が動く「影響力」の正体