2010.12.31

2010年に読んだビジネス書ベスト3
第2位『コトラーのマーケティング思考法』

第2位は、
マーケティングの鬼、フィリップ・コトラー先生による、
『コトラーのマーケティング思考法』

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今年に入ってコトラーの本を何冊か読んだのですが、
この本は特にずば抜けていて、目からウロコ連発でした。

 
これまでのマーケティングの考え方やフレームワークを
「垂直思考(Vertical Thinking)」として、
それを越える枠組みとして、
「水平思考(Lateral Marketing)」というのを提示しています。

 
「垂直思考」が、顧客をセグメンテーションして、
市場のシェアを広げていくためのマーケティングだとすれば、
この「水平思考」は、市場自体のパイを広げていくためのマーケティング。

 
普通に考えれば、
市場自体のパイを広げた成功例というのは、
「マーケティング」よりも「アイデア」への期待の方が高いんだと思う。

 
「枯れない花」をコンセプトした造花が生まれたり、
「朝以外に食べるコーンフレーク」が生まれたり。

 

そんなポっと出て大成功したっぽい事象を(まぁそんなはずありませんが)、
すべて分解して論理的思考に体系化する。
つまり、誰でも応用できる武器に変換する。
「あぁ、このオッサン完全に天才だな」というかんじ。

 

 

唐突ですが、
ぼくは、CINRA.NETというWEBメディアをやっていますが、
その編集方針として意識していることがあります。

 

「縦割りの情報」ではなく「横割りの情報」でありたい。
ということで、それをスタッフと共有してきました。

 
「縦割り」の情報は「カテゴリーごとの情報」。
例えばポストロックとか、コンテンポラリーアートとか、WEBデザインとか、
そういう既存のカテゴライズとか、知名度に依存した情報。
この社会にあるほとんどの情報が、「縦割り」にされて発信されている。

 

 

カテゴリーやジャンルは、あった方がわかりやすいから、まぁ納得はできるけど、
そうやって情報が伝達されると、特定のセグメントの、
そのカテゴリーに住んでいる人たちにしか届かないから、拡張性が少ない。

 
一方「横割り」の情報は、「感性ごとの情報」。
たとえば「悲しい」という感性や経験はみんなが持っているもので、
それにあてはまる情報は、音楽にもアートにも存在する。

 
それらを一本の串でつなげると、ジャンルやカテゴリを越えられる。

 
そのためには、まず既存の情報を一回分解して、
個人的な「感性」に落とし込む作業が必要。
そして、それを普遍的な「感性」に持ち上げていく。
そういう編集が、人に新しい発見や喜びを提供できる、と。

 
そんな暑苦しい話しが、
この本ではものすごくロジカルに体系化されているもんだから、
このオッサンはやっぱり天才なワケです。