2006.03.13

挑戦者の話しを聞く

今日はDREAMGATEが主催する起業家支援イベント「大挑戦者祭2006」に行ってきた。DREAMGATEは経済産業省がバックボーンとなって、日本に起業文化を根付かせるために行っている活動だ。
実は去年もこのイベントに行っていて、その時は堀江さんの講演会に出席してきた。当時はまだ近鉄騒動の後くらいで、そこまで有名にはなっていなかったんだけど、「会社に就職するなんて、バカらしいんですよ。労働力を搾取されるだけです。何かいいアイデアと少し根気があれば、金持ちになれますよ。だから、明日にでも起業しなさい」と言っていたのを印象的に覚えている。
今となっては・・・、というかんじだけれど、ぼくはこれはある種真実だと思っている。ただその分、背負うモノを背負えるかというだけだ。その人が金持ちを目指すかどうかは別として。
さて今年は色んな講演に行ってみた。
グッドウィルまずは11:00スタートのグッドウィルグループ代表取締役の折口さんのお話し。グッドウィルは起業後10年で売上1,500億超えという、グーグル以外はどこも成し遂げていない偉業を成し遂げた大手人材派遣企業。この折口さんは実はジュリアナ東京とヴェルファーレを作った人で、その後様々な利権にまみれて離脱。一人でグッドウィルを立ち上げてここまでデカくしたというあつい人。
午前中にも関わらず、ハイテンションでしゃべるしゃべる。すごいプレゼンテーション能力だった。
企業というのは1つのベクトルに向かって、半分夢のような目標に向かっていく。それ自体、語弊を恐れずに言えば宗教だと言う。
折口さんは夢と目標を設定して、それを実現させるための会社の憲法のようなものを作って、それを毎朝社員と復唱しているらしい。復唱することによって体に染み付き、それを実現させるためにどんなことがあってもベクトル修正できるのだ。よく考えてみれば、そういう社訓のようなものを設定している企業は多い。これは企業でなくても、必要な習慣だと思う。それはキリスト教でいう食前の祈り、イスラムで言うメッカに向かっての祈りと何も変わらない。何を信じるにせよ、どんな生き方をするにせよ、人間にはそういう「習慣」が必要なのだ。
もう一つ印象に残った話し。
グッドウィルはコムスンという介護事業会社を吸収した。人材とは関係のない介護業界であるにも関わらず、見事に黒字回復。去年で業界トップに躍り出た。
当初は「営利企業が介護をやっては金儲けに走るからダメだ」と言われたらしい。でも、「本当の心のこもった良いサービスは、一般的な価値としてお金に還元されるべきものだ」と反発した。だから、介護こそ企業が行っていくべきで、中途半端な安いサービスをするのではなく、お客さんに最大限喜んでもらうサービスを、お金をきちんといただいてやる。これがコムスンのやり方だそうだ。
月とスッポンということは重々承知の上だけれども、cinraを会社法人にする覚悟をしたのも、これと全く同じ理由からだ。NPOでは、日本社会のNPOに対する認識や資金の流動性の低さなどから、本当の新しい価値はつくれないと思った。どうせやるなら中途半端にグダグダやるより、失敗か成功かどっちに転ぶかわからないところで本気で勝負をするべきだと思った。というところで今スタートするところ。
その後、今回のイベントの目玉(だったらしい)のビジネスコンテストグランプリ。全国の若手起業家がアイデアをもちこんで競い合うもので、それぞれのプレゼンも素晴らしかったけれども、多くの観客の目的はそのコメンテーターにあった。
社長たち
史上最年少上場企業で有名なサイバーエージェント藤田晋氏。
ブライダル業界に革命を起こして、今年3月東証一部に上場したテイクアンドギブ・ニーズ野尻氏。
タリーズコーヒージャパンの松田氏。
ブックオフコーポレーションの坂本氏。
GMO熊谷氏。
フォーバルの大久保氏。
たぶん、今日本で一番注目される経営者が、ズラリと並んだ。こんな機会はめったにない。起業を志す人なら誰でも、この中の一人に何らかの影響を受けていることだろう。
このとんでもないメンツがビジネスアイデアを審査する。
どんな事業アイデアに対しても全員真剣に聞いて、真剣にコメントをしていた。最も印象的だったのはタリーズの松田公太氏。目が、半端じゃない。遠巻きながら、こんなに圧倒される目をもっている人は初めて見た。きっと、すさまじい人生を歩んで来たのだと思う。
最後。
「集客できるウェブコンテンツの違いと、ビジネス成功の鍵」というタイトルのパネルディスカッション。GREEの田中社長のお話しを聞きたくて、参加してみた。カフェグローブの矢野さん、アイランドの粟飯原さんと3人でのトークだ。
集客できるウェブコンテンツは何か、さらに集客できたあと、それをどうやってビジネスに結びつけているかという話しだった。
田中さんはやっぱり生粋のプログラマーだけあって、すっかり「web2.0」的なお話しに終始されていて、今後インターネットがどうなるかについて話しをしていた。すごく、頭の良い人だった。
対する二人の女性経営者は、逆にコンテンツを自分たちでつくって、編集して、ポータルを運営している。ニッチな層に対して密度の濃い情報を発信し、リピーターを増やし続けている。
cinraをmixiやGREEのようなコンテンツをユーザーが作るwebサイトにしていくのか、逆にカフェグローブのように情報を運営側が発信し、ニッチな層を確実に集客してユーザー1人1人への求心力を高めていくのか、どっちにしようかと考えたとき(今は両方ともやっているかんじで中途半端)、やっぱり後者だろうと思った。
cinraにはインターネットを使って発信したい情報があるからだ。
そして、web2.0の後は、こういう流れになってくるんだと勝手に思っている。